YANO'S BLOG
にほんの家はさむいです〜高気密高断熱の家は息苦しいのか?〜
2019.07.04 弊社の建築に対する考え方 省エネについて 省エネ(エコハウス)
建築家の講演会などに行くと、気密性や断熱性の低い建物を設計しているケースもあり、「この空間は少し空調が効きにくくてもいい」「サッシを解放した時の内外の一体感がとても重要」という話を聞くこともあります。
 
昔の日本の家は、雨風をしのぐためにまず屋根が出来ました。
そしてプライバシーや「中と外」を区切るために障子や板戸などを用いました。
 
夏は、その障子や板戸を開けて、風を通して過ごしていました。
冬は、囲炉裏のそばでみんな丸くなって過ごしていました。
 
先日、近代の岩前先生から興味深い話を聞きました。
「人類が動物と同じように自然の中で暮らしたらどれくらいの寿命が適正か?」
 
地球上のどのような動物も生涯における心拍総数がだいたい同じということ。
それで人類の寿命を見ると30歳のようです。
 
「人類が、健康を守るための住居を手に入れたことで、30歳という寿命を大きく飛躍させた要素の一つでしょう」
 
医学の進歩や栄養素をバランスよく取り入れた食事など、住環境以外の要素も多いですが、健康を維持する住環境が、人類の健康寿命を伸ばしたことは間違いのない事実でしょう。
 
ところで、このCMはご存知ですか?
 
 
2014年ごろに旭化成が作成したものです。
 
北欧やアラスカの人が一様に
「日本の家は寒いです」
と言っています。
 
「え!家はこんなものじゃ無いの?」
と思う方もいるかも知れませんが、日本の家が圧倒的に寒いがために、世界でダントツにヒートショックで亡くなっている人が多いのです。
 
この要因は、家の低断熱と低気密。
暖房室と非暖房室の温度差が20度以上になるとヒートショックになる可能性が大きくなります。
 
真冬の布団の中は28度。
それに対して、夜中トイレに起きてトイレの温度が8度以下だったら・・
 
このように低断熱低気密の環境は命を奪う可能性が大なのです。
 
低断熱低気密が良く無いことがここから分かるでしょう。
 
「でも高気密高断熱までする必要はないんじゃ無いのか?」
 
そう言う意見も聞こえそうです。
しかし医学会では、18度以下になる屋内空間は、健康を害する可能性が高いと言っています。
 
これは省エネ先進国では、周知の事実です。
 
しかし日本の家は真冬室温が10度以下になることもザラです。
 
家の性能によって外気温との温度差を確保することが可能です。
 
ここに関しては、地域や敷地条件、間取りによって細かく設定が変わるので、一概に答えが出せませんが、「光熱費の燃費計算をしてもらえますか?」と設計事務所や工務店に伝えて対応してもらえるところであれば問題ないでしょう。
 
そして気密。
「ラップで包んだみたいな家なんて息苦しそう!」
 
これは一般の人だけでなく業界で高気密高断熱の知識に乏しい人もそう思っています。
 
しかし、木造の気密性能は一般的に性能が低く、最新のマンションなどの性能であるc値0.2cm2/m2を出すことも難しいのが現状です。
 
ところで、マンションは息苦しいですか?
 
数年前まで、日本には気密の推奨基準がありました。太平洋沿岸で5、北海道で2です。
 
よくみてください。
北海道の推奨基準ですら隙間が10倍です。
しかもこの推奨基準は、守れない施工会社が多すぎたので最近は推奨基準の数値自体なくなっています。
 
省エネ先進国ではこの数字を1以下にすることを推奨していますが、これが日本と省エネ先進国の差なのです。
 
一言で言うと、
「日本の高気密高断熱は息苦しい以前のレベル」
なのです。
 
 
 
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この記事の著者
八納客創(やのけいぞう)
一級建築士 G Proportion Architects 代表。
「快適で居心地よく洗練されたデザイン空間」を探求している1級建築士。「孫の代に誇れる建築環境を作り続ける」をビジョンに、デザイン性と省エネ性、快適性を追求する一般建築を、そして住宅設計では「笑顔が溢れる住環境の提供」をコンセプトをもとに、会社員から経営者、作家など幅広い層の住宅や施設設計に携わる。