YANO'S BLOG
家で一人きりになれる場所は必要か? 〜アスペルガー的気質と家の関係〜
2019.08.12 子供の住環境 家づくり成功のツボ 子育て 発達障害
※この記事は以前はてなブログで執筆したコラムを加筆、修正して掲載しています。
 
家で一人きりになれる場所は必要か?
 
まず子供部屋に関しては、子供部屋で一人で勉強させる弊害の話を拙著「わが子を天才に育てる家」でも伝えていますのでそちらをご覧ください。
 
 
基本的に子供は一人きりで物事をするのが嫌いな子が多いです。そういう場合は、ダインングなどを使った勉強が有効ですが、中には一人きりになりになって集中する時間が欲しい子もいます・・・
 
「じゃ、子供部屋は要らないんですか?」という質問をよくいただきます。
 
一人きりで勉強するようになると
 「静かなところでないと集中できない癖がつきやすい」
 「勉強=一人きりでするもの となり、人との共同作業が苦手になる」
ということが起こりやすくなります。
 

一人きりになれる空間は必要なのか?

今回は、子供部屋だけでなく大人も含めて全体の話をします。
 
近年注目を受けだしている、アスペルガー(現在では自閉症スペクトラムの一つと言われています)をご存知でしょうか?
 
エジソン、アインシュタイン、スティーブジョブス、古くはレオナルド・ダヴィンチなどが、このアスペルガーだったと言われていますが、彼らは、一人きりでこもれる場所、その人にとっての「聖域」があり、そこで多くの創造的なものを生み出してきました。
 
▼人と付き合うのが苦手
▼世間話が出来ない
▼自分の世界観を持っている
▼得意なことは、人より抜きん出てできる
▼視野が狭い
▼一つのことを深掘りする傾向がある
▼空気を読むことが出来ない
▼発言が相手にどのように響くかを考えられない
 
など、近年だとスティーブジョブスの行動や発言を振り返るとまさに上記のようです。
 
現在、分かってきているのは、アスペルガー的気質でグレーゾーンの人も含めると日本では40〜50人に1人ぐらいいるということです。
 
ですが、個人的な感覚でいうと、私自身もその傾向がありますし、もっといるように感じます。
 
彼らにとっては、自分自身の領域や一人きりになれる環境は、彼らの才能をさらに開花させる可能性があるのです。
 
私の考えですが、どういう人にとっても、完全に一人きりで生きることは出来ません。どんな人にとっても、必要最低限の社会と接触できるためのスキルを身につける必要があるでしょう。
 
その基本的部分は、子供の頃の生活で培われます。リビングでの過ごし方、ダイニングでの食事の時間などを通じて、社会的素地を身につけていきます。
 
※この部分は、幸せな家づくり基本の「き」の第35回、36回をご覧ください。
 

 
大人になってから、「生きづらい」と感じる人の中には、グレーゾーンの人も多く、その場合は、大人になってから社会的に繋がっていくためのスキルを身につける必要も出てきます。
 
話を元に戻します。
 
家の中で一人きりになれる場所が必要か?
私は、必要だと考えています。
 
▼一人きりになることで、内省する時間を持つ
▼心を落ち着かせる時間になる
▼一人きりで入ることに対しての寂しい感覚を養う
 ※家族と一緒にいる時間を味わい楽しめるようになる
▼アスペルガー的気質の人は、自分の才能を開花させるきっかけになる
 
などが、その理由です。
 
できる限り家の中でそういった場所を確保するか、できない場合は、近隣のカフェなど周りを気にしなくてもいい環境を持つことは重要です。また出張などが多い人は、新幹線や飛行機の中がその時間になるでしょう。
 
余談ですが、私は新幹線で出張することが多いのです。これまでの著書のうち、1冊はほぼ新幹線で書き上げたこともあります。
 
家族仲の良さ=一緒に楽しむ
 
というのが、一般的に受け入れられている考えですが、
 
家族仲の良さ=それぞれの資質、才能を尊重しあえる関係
 
だと、私は考えています。
 
そういった意味でも、家づくりは千差万別。
 
それぞれの家族でシックリくる答えは、それぞれの家族との話し合いの中からしか見えてきません。
 
・・・だから家づくりは面白い。
 
今の暮らし方を見直す上でも参考になる話だと思いますので、家族でこの話をご覧になって話し合ってみましょう。
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この記事の著者
八納客創(やのけいぞう)
一級建築士 G Proportion Architects 代表。
「快適で居心地よく洗練されたデザイン空間」を探求している1級建築士。「孫の代に誇れる建築環境を作り続ける」をビジョンに、デザイン性と省エネ性、快適性を追求する一般建築を、そして住宅設計では「笑顔が溢れる住環境の提供」をコンセプトをもとに、会社員から経営者、作家など幅広い層の住宅や施設設計に携わる。