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子供部屋はない方がいい?子供部屋を作らないメリットとデメリット
2020.12.29
「子供部屋はない方がいいのか?」
「子供部屋は作らない方がいいのか?」

家づくりを考えるご夫婦・ご家族にとって、大きな検討内容ですね。

この記事では、子供部屋がないことのメリットとデメリットを、夫婦、子供たち、そして家族全員の3つの視点で整理しています。

この記事を読み終える時には、子供部屋についての考えを通して、家づくりのヒントを感じていただけると思います。どうぞお役立てください。

夫婦にとって子供部屋がないことのメリットとデメリット

「子供部屋はない方がいいのか?」を考える時、親は子供のより良い成長を最優先に考えてしまいがちです。しかし、家は家族みんなが快適に過ごすための場所です。

夫婦にとって「子供部屋がないこと」のメリットとデメリットも押さえておきましょう。

夫婦にとって子供部屋がないことのメリット

夫婦にとって子供部屋がないことのメリットは以下の3つです。

・家をつくる場合のコスト削減
・コンパクトなサイズの家づくり
・子供がパラサイト化しにくい

家を建てる場合、子供部屋を作らないと、家のサイズをコンパクトに設計することができます。それによって床面積を小さくすることができ、予算を押さえた家づくりが可能です。家づくりを検討する夫婦にとって大きなメリットになります。

また子供部屋がないことは、子供がパラサイト化しにくく「子供は大人になったら家を出るもの」という社会的自立をスムーズに促すことができます。

日本では子供部屋があることが当たり前のように思いますが、ヨーロッパでは子供専用の部屋がない家庭が多いです。ではどのようにして子育てをするかというと、「ファミリールーム(家族専用のリビング)」の一角をカーテンなどで仕切り、子供部屋として使います。

子供が自分の部屋を欲しがるようになると、「大人になったら自分の家を持ちなさい」といって、経済的・精神的な自立を促します。このように子供部屋がないことで「子育ての節目」ができ、子供の社会的自立を自然に促すことができます。

夫婦にとって子供部屋がないことのデメリット

夫婦にとって子供部屋がないことのデメリットは、夫婦のプライバシーを確保できないことです。プライバシーが保たれないと、夫婦にとっては大きなストレスになります。

子供部屋を作らない場合は、夫婦の時間やプライバシーの確保、子供が成人するまでの期間はどのくらいなのかなど、パートナーとの話し合いが大切だと思います。

子供たちにとって子供部屋がないことのメリットとデメリット

子供たちにとって子供部屋がないことのメリットとデメリットは、子供時代だけでなく、子供が大人になった頃のことも想定して考えておくことが大切です。

それでは子供たちにとってのメリットとデメリットを詳しく解説します。

子供たちにとって子供部屋がないことのメリット

子供時代には理解しにくいかもしれませんが、将来にわたる子供たちにとってのメリットは、親に依存せず自立して生きていこうとする自立心が育つことです。

自分の部屋がなければ「自分の部屋が欲しい!そのために自立して家を出る!」という気持ちが自然に芽生え、経済的にも自立して生きていこうという気持ちになります。

今の日本では「8050問題」があり、80代の親の元に、経済力のない50代の子供がパラサイト化して親の年金で生活し、親が亡くなると収入がなくなってしまうという生き方をしている人が増えています。

これは、子供が自立して家を出ることを促すような親子関係ができていなかったり、大人になっても子供部屋があることで、部屋から出なくても生きていけるという負の要素が、「8050問題」を促してしまっているように思います。

子供時代に過ごす部屋として子供部屋があるのは良いですが、大人になっても無償で使える子供部屋があることは、子供にとってはデメリットになるかもしれません。

 

[コラム]

私の家には、子供部屋はありません。個室ではなく、部屋の一角を子供スペースとしています。そして娘には「この家はパパとママの家だよ。今は、このスペースをあなたに貸してあげる。」そう伝えています。

これは「自分の部屋が欲しければ、大人になって自分で稼ぎ、自分の部屋をもてるように経済的にも精神的にも自立しなさい」という思いのためです。

成人すればこの家から旅立つ娘。親として、子供から目を離さず、でも口を出しすぎず、子供が自然に自立できるような子育てを心がけています。

子供たちにとって子供部屋がないことのデメリット

子供たちにとって子供部屋がないことのデメリットは、子供のプライバシーを確保できないことや、家族と個人のスペースの境界線が明確にもてないことです。

今の時代は、一人ひとりの個人が確立された上で、お互いを尊重する世の中です。こうした時代の中で、子供部屋がないことは、子供は「個人として尊重してもらえてる」という気持ちが芽生えにくく、親も子供に対して過干渉気味になってしまうかもしれません。

また子供部屋がないと、自分の部屋をきれいに掃除することや、部屋のインテリアを自分好みに飾るようなことはできません。

部屋をきれいに保つことやインテリアを考えることは、空間を管理する能力で、子供の頃に自分の部屋で実践することでしか身につきません。

アメリカでは掃除やインテリアなど、空間をコントロールする能力を育てるため、そして自立を促すために、子供に子供部屋を与えているようです。

もし子供部屋がない場合や作らない場合は、リビングなどの部屋の一部を子供スペースとし、子供自身に空間管理を任せるような環境づくりをすると良いでしょう。

家族全員にとって子供部屋がないことのメリットとデメリット

家は家族みんなが幸せに暮らすための空間です。家族全員にとって子供部屋がないことのメリットとデメリットについても解説します。

家族全員にとって子供部屋がないことのメリット

子供部屋がないと、家族間の距離が短くなるため、人懐っこい子供に育ちやすい傾向になります。これは家族にとってのメリットだと思います。

ひとりで閉じこもって外の環境を遮断することがないので、どうやって人と関わって生きていくかの学びの場にもなります。

家族内のコミュニケーション能力を育てる上でも、メリットといえます。

家族全員にとって子供部屋がないことのデメリット

家族全員にとって子供部屋がないことのデメリットは、家族内の個々人のプライバシーを尊重することができない点です。

親が子供に対して過干渉気味な場合、子供部屋がない子供は、ストレスをより強く感じてしまい、家族全体がギクシャクした雰囲気になってしまいます。

家族であってもお互いのプライバシーを尊重することは、家族みんなの心の安定でもあり、現代社会では大切な要素だと思います。

また、先に書いたように、子供時代に空間管理能力を育むことはとても大切で、それは大人になってからの整理整頓・礼儀作法にもつながるように思います。

子供部屋がない場合は、積極的に子供に手伝いや掃除をさせるなどして、片付けられない大人、汚部屋に暮らす大人にならないよう、家族内の心がけも大切だと思います。

結論:子供部屋は要らないのか?子供部屋はない方がいいのか?

私の個人的な意見では、子供部屋、もしくは子供のスペースはあった方が良いと思います。

理由は、子供の空間管理能力や自立心を育てる上で大切なツールだと思うからです。ただし、寝室としての役割が主で、勉強する部屋としてはおすすめしません。

子供におすすめの学習環境は、静かな子供部屋ではなく、家族がいるリビングやダイニングです。

親は、静かな子供部屋で勉強する方が集中できるように思ってしまいます。しかし、子供にとって、特に幼いうちは、ひとりきりで勉強するより、親がいる場所での学習の方が安心して楽しく取り組むことができます。

また、家族がいる部屋での勉強は、コミュニケーション能力も育ち、家族の会話もつくりやすくなります。

1人っきりの静かな子供部屋でしか勉強できない子供に育てるのではなく、少々うるさくても和気藹々として自分のやることを淡々とできる子供に育てることは、大人になってからもメンタル的にも強く、社会生活においても役立つ能力になると思います。

 

[コラム]

日本以外の先進国での子供部屋の主な役割は「寝室」です。

アメリカでは、ピューリタンという思想(生まれながらにしてひとりの個人として尊重する)があり、生まれたばかりの子供にも子供部屋をつくり、「寝室」として分け与えます。しかし、アメリカでは子供が子供部屋で勉強する習慣はなく、現在も同様です。

日本における子供部屋は、アメリカから取り入れた間取りなのですが、その際に日本人が考えた子供部屋というのが、「子供が日中過ごす部屋」、「勉強する部屋」でした。

そして1950年代に、日本は世界で初めて学習専用机をつくり、日本が高度成長期の1970年、1980年代には、「勉強部屋としての子供部屋」という考え方が東南アジアにも広がりました。

しかし、勉強部屋としての子供部屋は弊害が出てきています。静かなところでしか勉強できない子供は、受験会場などの大人数の環境に入るとパニックになってしまうというケースもあるようです。

家づくりをお考え中のご家族にとって、「子供部屋はいらないのか?ない方がいいのか?」の検討は、夫婦・子供たち・家族全体のそれぞれの視点によって、メリットとデメリットが異なります。

暮らし方、家族の関わり方を含め、家族が笑顔で楽しく暮らすことに視点をおいて検討してみてください。