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セカンドハウスの新様式「タイニーハウス」の特徴と注意点
2022.05.06 セカンドハウス

セカンドハウスと言うと、これまでは一部の高所得者でない限り手が届かない贅沢品というイメージがありました。

しかし、最近ではタイニーハウスと呼ばれる小さな家や移動ができるモバイルハウスなど手ごろな価格で購入できる「小さなセカンドハウス」が登場。

セカンドハウスに興味を持つ人の注目を集めています。

この記事では、大きくて設備が整った高級感のある家が良いとされていた従来の価値観を覆す新しいスタイル、「小さなセカンドハウス」のメリットや注意点についてご紹介します。

 

Contents

小さなセカンドハウス「タイニーハウス」の基礎知識

 

タイニーハウスとは?

タイニーハウスは、直訳すると「小さな家」。

文字通り、小屋のような延べ床面積の小さい家の事を指します。

具体的には、おおむね10平米から25平米くらいまでの広さのものがタイニーハウスと呼ばれています。

 

タイニーハウスが注目を集める背景

タイニーハウスは、東日本大震災が発生した2011年以降、注目を集めるようになりました。

震災を機に、沢山のものを所有して豊かさを謳歌するという価値観から、必要最低限なモノだけを所有するシンプルな暮らし方に価値を見出す人が増加。

こうした価値観やライフスタイルの変化の中でタイニーハウスに注目が集まるようになりました。

 

小さなセカンドハウス「タイニーハウス」2つのタイプ

タイニーハウスと一口に言っても、小屋のような小さな家タイプのもの、車の荷台に乗せて移動が出来るキャビン型のモバイルハウス、トレーラーハウス、キャンピングカーなど様々なタイプのものが存在します。

これらを大別すると、

・基礎があるタイニーハウス

・車で移動できるタイニーハウス

の2つのタイプに分けられます。

以下の章では、これら2つのタイプ別にタイニーハウスの特徴や必要となるコストなどをお伝えします。

 

基礎があるタイニーハウスの特徴とコスト

 

基礎があるタイニーハウスの特徴

基礎があるタイプのタイニーハウスとは、一般住宅と同じように地面に定着している家で、小屋のようなタイプが該当します。

水回りの設備や断熱性能が無いシンプルなものが多く、その場合の建築コストは100万円から300万円程が相場です。

逆に内装や外装、水回りの設備や断熱性能にこだわると500万円を切るのはかなり難しくなってきます。


【一般住宅の基礎工事完了時の風景】

 

基礎があるタイニーハウスのコスト:初期費用

タイニーハウスをセカンドハウスとして所有するメリットにはどのようなものがあるのでしょうか?

まずは何といっても家を新築するコストを下げられるという点が挙げられます。

建物の延べ床面積が小さいので、その分コストを大きく削減できます。

また、パッケージ化されている商品を選べば、建築コストにいくらかかるのか事前に明確に把握できるという点も歓迎されています。

例えば、無印良品が手がけている「MUJIの小屋」は標準仕様の家が300万円、隅研吾氏デザインの「小屋のワ」という商品は330万円弱で購入することができます。

タイニーハウスのパッケージ型商品は、完成した家の詳細なイメージが事前に分かり、資金計画が立てやすいという点が大変魅力的ですね。

 

基礎があるタイニーハウスのコスト:ランニングコスト

ランニングコストを抑えられることも、タイニーハウスをセカンドハウスにするメリットの一つに数えられます。

サイズがコンパクトな家であるため、照明やエアコンの数などを減らすことができ、光熱費などを低くおさえることができます。

また、税金面ではタイニーハウスにも固定資産税はかかりますが、延べ床面積が小さいので、一般住宅に比べればかなり低く抑えることが可能となります。

タイニーハウスは、建築コストやランニングコストが抑えられ、建築確認申請が要らない場合があるなど様々なメリットがありますので、これからも需要がさらに高まることが予想されそうですね。

 

基礎があるタイニーハウスの建築確認申請が不要となるケース 

さらに、タイニーハウスはいくつかの条件を満たすと建築確認申請が不要となるケースもあります。

具体的には、以下のような条件となっています。

・延べ床面積が10平米以下

・敷地の用途地域が無指定であること

・防火地域・準防火地域に該当しないこと

これらの条件を満たせば、建築確認申請は不要となる場合があります。ただし、自治体によっては必要となるケースもありますので。事前に自治体に確認することが必要です。

車で移動できるタイニーハウスの特徴とコスト

車で移動できるタイニーハウスには、以下の3つのパターンがあります。

・モバイルハウス

・キャンピングカー

・トレーラーハウス

この章では、代表的なこれら3つのパターンごとに特徴とコストとメリットをお伝えします。

 

モバイルハウスの特徴【車で移動できるタイニーハウス①】

モバイルハウスとは、主に軽トラックの荷台に家となるキャビンを載せて使うものを指しています。

モバイルハウスはキャンピングカーと似ていると思われがちです。

しかし、モバイルハウスは、ジャッキやフォークリフトなどを使えば、車の荷台から自由に積み下ろしすることができます。

ですので、モバイルハウスを使わないときは車から降ろしてさえしまえば、車を本来の使い方である軽トラックとして利用することが可能となります。

ただし、車の荷台に載っているモバイルハウスは荷物という扱いになるため、車の走行中はキャビンの中に人が入ることはできません。

このため、車を走行する際には、運転席と助手席の2人しか乗車できない点に注意する必要があります。

人数などに制約はありますが、車を運転して好きな場所に行って滞在することができるモバイルハウスには、自由なライフスタイルを実現させてくれるという魅力的なメリットがありますね。

また、モバイルハウスがあれば、万が一の災害時には家ごと避難することが出来るので、その点も大きなメリットといえるのではないでしょうか?

【6.75帖の洋室の例。モバイルハウスはこのお部屋の4/1~3/1程の広さです。】

 

モバイルハウスのコスト:初期費用【車で移動できるタイニーハウス①】

モバイルハウスの価格の目安は、自分で組み立てるものより装備がシンプルなものの場合は50万円からあります。

本格的な設備が整ったものになると800万円というハイクラスなものも存在しています。

ここまでいくと、もう少し資金を上乗せすれば、地方だったら一般住宅が建ってしまいそうなお値段ですね。

 

キャンピングカーの特徴【車で移動できるタイニーハウス②】

2016年の日本RV協会の調べでは、キャンピングカーは日本全国で保有台数が10万台を超えるなど、近年非常に人気が高まっています。

気軽にアウトドアライフが楽しめるとして注目を集めているキャンピングカー。

アメリカなどでは、キャンピングカーは期間限定で楽しむというだけでなく、キャンピングカーに定住する人が増えています。

キャンピングカーには、小型でシンプルな仕様のものもあれば、大型で家としての機能がフル装備されたものまでさまざまなタイプがあります。

セカンドハウスとしてキャンピングカーを所有する場合、ある程度の設備が備えられているタイプがおススメです。

 

キャンピングカーのコスト:初期費用【車で移動できるタイニーハウス②】

軽自動車をベースにしたいわゆる軽キャンパーの場合は100万円からありますが、本格的な装備を備えたものになると500万円以上するのが相場となっています。

キッチンやトイレ、シャワーまで付いたフル装備のキャンピングカーですと、快適な居住空間を実現でき、セカンドハウスとして長期滞在することも可能となってきます。

 

キャンピングカーのコスト:ランニングコスト【車で移動できるタイニーハウス②】

一方、キャンピングカーを維持するには、以下のようなコストが発生します。

・税金:自動車税、自動車重量税

・保険料:自賠責保険、任意保険

・車検

・燃料費

・駐車場代

・メンテナンス代

これらの維持費の目安については、キャンピングカーの種類や利用頻度や環境などで金額が大きく変わってきますので、提示することは難しいです。

気になる方はご自身で確かめるようにしてください。

最近では、日本でもキャンピングカーをセカンドハウスにする人や、メインの家として利用するという話も聞かれるようになってきました。

アウトドアがお好きな方は、セカンドハウスとしてキャンピングカーを一考されるのも良いかと思います。

トレーラーハウスの特徴【車で移動できるタイニーハウス③】

トレーラーハウスは、キャンピングカーのように自走するタイプではなく、タイヤの付いたシャーシの上に小さな家を載せるタイプのものです。

このため、トレーラーハウスを移動させるには専用の車でけん引する必要があります。

トレーラーハウスは一般的には、設置した場所で定住するというケースが多く、小さいながら一般住宅と外装や内装がほとんど変わりなく、家の設備が整っているものも少なくありません。

このため、トレーラーハウスは、電気、ガス、水道といったインフラも引き込むことが出来るような仕様になっています。

ただし、移動がすぐに出来る状態を保つために、都市ガスではなくプロパンガスのみの使用となります。

キャンピングカーと比較して、本格的な家としての機能があるトレーラーハウスも、けん引して運びさえすれば、日本中どこでも好きな場所に行って暮らすことが出来るのが大きな魅力と言えますね。

 

トレーラーハウスのコスト【車で移動できるタイニーハウス③】

トレーラーハウスは、不動産ではなく車両扱いとなります。

そのため、キャンピングカーと同等の維持費がかかると思ってください。

ただし、モノによっては建築物と見なされるケースもあります。

こちらに関しては次章で詳しくお伝えしていきます。

タイニーハウスを小さなセカンドハウスとして所有する際の注意点

前章で、タイニーハウスには基礎付きの小屋タイプのものからモバイルハウス、キャンピングカーなど様々な種類があり、それぞれに特徴やメリットがあることが分かりました。

この章では、タイニーハウスを所有する際の注意点をまとめていきます。

どのパターンでもいえることですが、小さい家の場合、室温の管理など室内環境を一定に保つのが難しいですし、壁が薄いものが多いため防音性も概して低いです。

また、居住空間が狭いタイプの場合には快適性の確保にも限界があり、長期滞在は厳しくなってしまうという点をまず理解しておいてください。

それでは、タイニーハウスの種類別に注意点を見ていきます。

 

注意点①基礎があるタイニーハウス

タイニーハウスを基礎で固定する場合には、建築基準法に則った商品であるかどうかを事前に確認してください。

商品によっては、建築基準法を満たしていないため、建築確認申請が出来ないものもあるからです。

また、仕様がシンプルなタイニーハウスには、水回りの設備が付いていないものが多く、その際には、トイレや洗面所、お風呂やキッチンなどを別に確保する必要がありますので、この点をどうクリアするかについても考える必要があります。

 

注意点②モバイルハウスとキャンピングカー

モバイルハウスやキャンピングカーを所有する際に注意すべきは、駐車場の確保の問題です。

モバイルハウスやキャンピングカーは自由にどこでも移動することができます。

しかし、移動先によっては駐車スペースを見つけるのが難しかったり、駐車場代が高額になる場合が少なくありません。

さらに大型のキャンピングカーの場合には、停められる場所自体が限られてしまうこともありますのでよく調べておく必要があります。

また、電源の確保という問題もあります。

セカンドハウスとして利用する場合には、生活の拠点になるため自家発電出来る装備をした方が安心です。

例えば、車の屋根の上にソーラーパネルを置き太陽光発電システムを取り入れ、蓄電池をセットしておくと電気不足対策ができます。

そして、こちらの場合も、トイレやお風呂などの設備がないタイニーハウスの場合には、設備のある所へ移動するなど対策が必要です。

【キャンピングカーを停めても余裕のある駐車スペースの例】

 

注意点③トレーラーハウス

トレーラーハウスを所有する際には、3つの点に関して注意していただきたいと思います。

①運搬に多額の費用がかかる

②設置先の地盤の状況

③トレーラーハウスの扱い

 

①運搬に多額の費用がかかる

移動先で定住することを目的に作られている為、サイズの大きいものになると、運搬するのに多額の費用がかかってしまいかねません。

また、大きなトレーラーハウスの運搬には高度の技術が必要となるため、運搬のプロに依頼し、専用の牽引車を使う必要も生じます。

移動距離にもよりますが少なく見積もっても数十万円は費用がかかると思ってください。

また、設置したい場所に運搬することが可能であるか、事前にしっかりと確認することも必要です。

設置したい地域の自治体に運搬が可能かどうか事前に確かめるようにしましょう。

 

②設置先の地盤の状況

トレーラーハウスは重量が相当あるために、農地や、柔らかい地盤の場合には設置することが出来ません。

トレーラーハウスを設置できる条件が整った地盤かどうか、事前に確認することが求められます。

 

③トレーラーハウスの扱い

トレーラーハウスの扱いが建築物に該当しないかどうか、注意してください。

常に移動させることが出来る状態であれば車両扱いとなりますが、そうでない場合には建築物と見なされ、固定資産税などを支払う必要が出てきてしまいます。

トレーラーハウスが、建築物と見なされる条件は以下の通りです。

・移動させるときに支障のある階段などが設置されている

・給排水管や電気の配線などが容易に取り外せない状態になっている

・タイヤが取り外されていて、走行できない状態になっている

・設置場所から公道までの運搬路が確保できない

このような状況になっていると建築物と見なされますので、注意していただきたいと思います。

 

まとめ【セカンドハウスの新しい提案、タイニーハウスと呼ばれる「小さなセカンドハウス」がもたらすメリットと注意点とは?】

これまでのセカンドハウスの概念を覆す新しいスタイルである、小さなセカンドハウスには様々な種類があり、大変魅力的な商品が多いことが分かりました。

しかし、購入するにあたって、本当に自分たちのニーズを満たす商品なのかよく検証し、維持管理を長期間していけるのかどうかについてなど、冷静によく考える必要があります。

キャンピングカーやトレーラーハウスなど、レンタルできるものなどは、一度お試しで利用してみて、本当に自分のライフスタイルに合っているか確認してみると良さそうですね。

それでは、最後までお読みいただきましてありがとうございました。