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- 【無垢材と漆喰の家】自然素材の家のメリット・デメリット
家族が安心して住めるマイホームを建てるために、体に優しく、環境にも優しい自然素材の家を検討される方が増えています。
家に自然素材を取り込むことで、自然界と共に生きる人間本来の感覚に寄り添った「居心地が良い家」を実現してくれます。
こちらの記事では、無垢材や漆喰などの自然素材を使った家が持つ具体的な魅力や、メリットとデメリットについて詳しく紹介しています。
Contents
無垢材と漆喰の家とは
一般的に、無垢材や漆喰などの自然素材を多く使って建てた家のことを「自然素材の家」と呼びます。
まずは、無垢材や漆喰とはどのようなものなのか紹介していきます。
無垢材とは
「無垢材」とは木そのものであり、天然無垢な状態の木からそのまま切り取った木材です。
フローリングに無垢材を使用すると木材本来の雰囲気を存分に楽しめます。
一般的にフローリングには「複合フローリング」という床材が使われています。
複合フローリングとは、集成材や合板の基材の上に薄い天然木の板を接着剤で合成した合板のことです。
漆喰とは
「漆喰」とは、水酸化カルシウム(石灰)が主原料となっている塗り壁材のことです。
自然界に存在する石灰がそのまま使われています。
「呼吸する壁材」と言われており、天然素材の代表格です。
石灰岩は太古の石灰藻や珊瑚、貝殻、石灰質プランクトンなどの炭酸カルシウムで殻や骨格を構成する生物の屍骸が堆積し石化したものです。日本で唯一自給できる鉱産資源と言われています。 |
一般に使われている壁材の「ビニールクロス」は、ポリ塩化ビニルを主原料とする人工的に作られたものです。
ビニールクロスに比べ、漆喰の壁は
- ・呼吸をする
- ・帯電しない
という大きな違いがあります。
漆喰の壁は帯電しないので、冬場の屋内での静電気が起こりにくくなります。
また、綿ぼこりや埃の飛散防止にもなります。
【内壁材を漆喰とした例】
【無垢材と漆喰の家】自然素材の家のメリット
自然素材の家で感じることのできる主なメリットについては以下の5つが挙げられます。
- 1.リラックス効果を得られる
- 2.触感を楽しめる
- 3.一生使い続けることができる
- 4.外気温の影響をやわらげる
- 5.経年による味わいを楽しめる
それぞれ詳しく紹介していきますね。
【1】リラックス効果を得られる
無垢材は他の資材に比べてリラックス効果が高く得られます。
筆者も試しに前屈をしてみましたところ、複合フローリングよりも無垢材の床の方が体が柔軟になることが分かりました。
無垢材の床では緊張感がほぐれ、リラックスできている証拠だということです。
また、素材に帯電があると体に緊張感が出て、リラックス効果に影響があるのではないかとも考えられます。
「居心地がいい家」を目指すのであれば、リラックス効果が得られる天然素材を使うのが大前提と言えます。
【2】触感を楽しめる
自然素材の家では、自然素材ならではの肌触りを楽しむことができます。
リラックスした状態で手や素足が無垢材と触れ合うと、木材の持っている温かい肌ざわりを気持ちよく感じられることでしょう。
お子様がいらっしゃるご家庭にも自然素材の家はおすすめです。
幼少期は特に床に手足が触れている時間が長いため、木の香りや温かみなどを五感で感じることができます。
また、自然の素材に触れることで、木材への親しみや森林への理解を育み、「居心地がいい環境」を本質的に体感できるようになります。
【3】一生使い続けることができる
無垢材は一生使い続けることができる資材です。
無垢材はメンテナンスが必要と言われて嫌厭する方もいらっしゃいます。
しかし、メンテナンスができる素材ということは、裏を返せば一生使い続けられるということです。
表面が傷ついても味になりますし、削り落とすことも可能です。
使用環境や樹木の種類によっては100年だって持ちます。
一方の複合フローリングはメンテナンスフリーですが、つまりは使い捨てということです。
複合フローリングは最長で30年程持ち、その後は張り替えか表面の張り直しが必要となります。
合板の複合フローリングは劣化すると端からパリパリと剥げ、表面材がボロボロになって補修不可能となってしまいます。
【床材をメープルの無垢材とした例】
【4】外気温の影響をやわらげる
無垢材は冷えにくく、断熱性や保温性が高い特長がありますので、外気温の影響をやわらげることができます。
冷凍庫に複合フローリングと無垢のフローリングを長時間入れた後、出して温度を比べてみると、複合フローリングは0℃近くまで温度が下がりますが、無垢は5℃くらいまでしか下がりません。
冷たくなりすぎず、触っても刺さるような冷たさを感じません。
なぜなら、無垢材の中は木の繊維に隙間があり、発泡スチロールのように内部に空気が保たれているからです。
複合フローリングは、合板のため接着剤で隙間なく貼られているので、空気を含んでおらず外気温の影響を受けやすいのです。
無垢材は柔らかい木の方が空気を含むので冷えにくいのですが、固い木に比べると凹みやすいという欠点もあります。
無垢材の凹みを簡単に修復できる方法がありますので、後程「自然素材の家のデメリット/【2】傷がつきやすい」の項目内で紹介させて頂きますね。
【5】経年による味わいを楽しめる
無垢材を長年使うと、「味わいが出た」「魅力が増した」と経年変化を楽しめるメリットがあります。
無垢以外の素材では使い込むごとに、「劣化した」「みすぼらしくなった」「朽ちた」というネガティブな表現が使われてしまいます。
筆者の考えですが、人の五感でそのように感じてしまうのには理由があります。
無垢材は自然界にあるもので、経年変化は自然界が変化を遂げていく様子と似ているといえます。
無垢材の経年変化は、人の感覚にはわびさびとして受け入れやすく、味わい深いという感覚を呼び起こしてくれるのではないでしょうか。
無垢材の経年変化を楽しめるのは、自然界と共に生きる人間の感覚に寄り添っているからなのですね。
【無垢材と漆喰の家】自然素材の家のデメリット
次は、自然素材の家のデメリットについて5つ紹介します。
- 1.膨張・収縮する
- 2.傷がつきやすい
- 3.施工しにくい
- 4.費用が割高になる
- 5.メンテナンス
それぞれ詳しく紹介していきますね。
【1】膨張・収縮する
自然素材は季節によって膨張・収縮するというデメリットがあります。
木の繊維方向に対して寒い冬は縮み、暑い夏は伸びてしまうので、季節によって天然素材のフローリングは木と木の隙間の空き具合が変わってきます。
冬場は素材が収縮して大きくなった隙間に埃が入ってしまうことがあります。
砂場で遊んで家に帰ってきた子供の衣類などから室内に砂が落ちてしまい、フローリングの隙間に入って掃除がしにくいといった事例などが挙げられます。
また夏場は、施工技術に問題があった場合、素材の膨張で床が膨れ上がるなどのトラブルも報告されています。
そのようなことから、ハウスメーカーは無垢材に対して「品質が保てない、一定でない」といった見解を示しており、クレーム対象になりえる素材として扱っているのです。
ハウスメーカーで無垢材を使う場合は、後々クレームにならないよう一筆書かされることが多いのが現状です。
【2】傷がつきやすい
自然素材は傷つきやすいというデメリットがあります。
無垢の素材そのものであるため、物が当たったり直接ぶつかったりすると凹んでしまったり、壁の場合はこすれて剥がれてしまったりするなどのトラブルがあります。
特に壁の場合は、傷ついた場所の部分補修が難しい素材もあるので注意が必要です。
天然素材を使う場合は、必ず施工会社に補修しやすい素材かどうか確認することをおすすめします。
また、無垢の床が大きく凹んでしまった場合は、ハンカチを水で濡らして上からアイロンをかけるとほぼ元に戻るという裏技もあります。
【天然漆喰のフェザーフィールとした例-表面の汚れは消しゴムでこすると良い】
【3】施工しにくい
漆喰壁は、自然素材の含有量が多いほど施工しにくいというデメリットがあります。
漆喰は、ノリやスサを加えて水で練ったもので作ります。
自然素材の含有量が多いほど
- ・施工時の伸びが悪い
- ・施工不良によるひび割れがしやすい
- ・施工後ヘアクラック(髪の毛ほどのヒビ)が起こりやすい
といった問題が起こりやすくなります。
施工しやすいと言われる漆喰は、化学的な素材を混ぜて作っています。
本物の漆喰にこだわると工務店から「後でひび割れリスクなどがある」と説明されますので、自然素材の含有量を多くするかどうかは工務店とよく相談して決めるとよいでしょう。
本物の漆喰にこだわりたいけど、施工後のひび割れリスクは負いたくないという場合は、施工を断られてしまう可能性があります。
【4】費用が割高になる
漆喰の壁は、建設時のコストが割高になります。
しかし、自然素材はメンテナンスができる材料なので、長い目で改修費用などから見ると割安になるのです。
ビニールクロスは(喫煙者がいる場合は特に)10年程度で寿命を迎え、張り替えが必要になります。
しかし、漆喰は全面張り替え等が不要であり、ほぼメンテナンスの必要もないので、基本補修しながらずっと使い続けることができます。
漆喰はビニールクロスに比べると建設時に3倍くらいのコストがかかりますが、30年で逆転できるという計算になりますね。
ちなみに無垢材のフローリングと複合フローリングについては建設時の価格差はほとんどありません。
【5】メンテナンス
床の場合は特に、定期的なメンテナンスが必要となります。
複合フローリングの場合は、メンテナンスフリーと言われており、メンテナンスはほぼ必要ありません。
対する無垢材の床の場合は、5年くらいを目安にオイルを塗るなど、水の染み込みや汚れの染み付きなどを防止させる必要があります。
新築で家を建てる場合は、施工を依頼した工務店に5年に1度程度、オイルの塗り直しなど依頼すると良いでしょう。
5年分の汚れをしっかり取った後にオイルを塗りなおしてくれるなどのフォローをしてもらえるのでおすすめです。
ご自身でオイルの塗りなおしをする場合は、汚れをきっちり落とさなければ汚れにオイルを上塗りしてしまうことになりますので注意が必要です。
サマリー:【無垢材と漆喰の家】自然素材の家のメリット・デメリット
こちらの記事では、自然素材の無垢材と漆喰とはどのようなものなのかについてや、自然素材の家のメリットとデメリットについて紹介しました。
無垢材とは |
木そのものであり、天然無垢な状態の木からそのまま切り取った木材のこと |
漆喰とは |
水酸化カルシウム(石灰)が主原料となっている塗り壁材のこと |
自然素材の家の主な5つのメリット |
他の資材に比べてリラックス効果が高く得られる |
自然素材ならではの触感を楽しめる |
一生使い続けることができる |
外気温の影響をやわらげることができる |
経年による味わいを楽しめる |
自然素材の家の主な5つのデメリット |
季節によって膨張・収縮する |
傷がつきやすい |
自然素材の含有量が多いほど施工しにくい |
建設時の費用が割高になる |
定期的なメンテナンスが必要 |
自然素材の家についての理解を深めた上で、自然素材を選択するかどうかしっかりと検討してみてくださいね。
こちらの記事が、理想のマイホームを建てる上でお役に立てば幸いです。