YANO'S BLOG
どんどん部屋が散らかって行く人の「心のメカニズム」5つのステージとは?
2019.08.15 片付け 発達障害
※この記事は2016年のものに加筆修正したものです
最近、「部屋の状態はその人の心の状態を表している」というテーマの書籍やコラムなどが話題になっています。家づくりを普段から手掛けている立場からしても、確かにそうだと言えます。
 
それは、なぜなのでしょうか?
 
ここでは、これまで多数関わってきた相談者との間で分かってきた「心に連動してなぜ部屋が散らかってしまうか?の理由」について、散らかり具合の度合いに合わせて5つのステージでお伝えします。
 

なぜ、心の状態に合わせて部屋が散らかってしまうのか?心の状況に合わせた5つのステージをみていきましょう

 
 
 

ステージ1 心に余裕がないと周りにまで気が配れなくなるから

まず誰でも心に余裕がなくなると、周りに気を配ることが難しくなります。部屋にたいしても同様です。年中、部屋が片付いている人は、それほどいません。
 
どちらかというと、心に余裕がなくなると少し散らかり、少し心に余裕が出来てくると、それを片付けるというサイクルを繰り返します。
 
特に心に余裕がなく、先延ばしにしたくなる場合、机の上に物が散らかったりするのもその象徴です。
 
年中を通じて、そんなに部屋がちらかっていない人の場合は、「心に余裕がなくなり少し散らかる」「心に余裕が出来て少し片付ける」の間のサイクルを繰り返しているのが現状です。
 
 

ステージ2 心に余裕がないと、散らかっている状態の方が心になじんでしまうから

ステージ1のサイクルが崩れて心に余裕がない時間が増え、片付ける気力が沸かない日々が続くと、だんだんと部屋が散らかったままになってきます。
 
ここで特に片付かない原因になるのが「床の上に物を置く」という行為です。
これがではじめると要注意です。
 
床の上に物を積み上げることが増え、それを片付ける気力や余裕がないまま、さらにその上に物が積み重なっていく、、、心の中では「これだけ大変で忙しくしているんだから片付かなくても仕方がない」という言い訳がぐるぐる回り始めます。
 
そうなると、部屋の散らかった状態=忙しさの象徴として、妙になじんできてしまいます。忙しさや心に余裕がない状態が長期化すると、この状態が徐々にロックされていきます。
 
 

ステージ3 習慣化してしまうと変えるのが難しくなり抜け出せなくなるから

「部屋が片付いていたのはいつのころだっただかしら?」と思い出せないくらいの状態になってくると、部屋が散らかった状態は、完全に習慣化してしまっています。
 
そうなると、逆に少し心に余裕が出始めても、「散らかっている部屋=自分の部屋」という習慣を変えるだけの気力にはつながりません。
 
また、そういった部屋で過ごしていると、気力がみなぎって元気になることは難しくなってしまうため、確実に習慣化、長期化してしまいます。
 
よっぽどのことがない限り奮起して、部屋を片付けようという気になれなくなってしまうのです。
 
 

ステージ4 セルフイメージを下げ、きれいな部屋にふさわしくないという感覚になるから

はじめは片付いていた部屋に住んでいたはずなのに、心に余裕がなくなり、いつも間にか散らかり、それが習慣化してしまうと、「いくら片付けようと思ってもそれが出来ない自分」「こんな自分には片付いた部屋はふさわしくない」とセルフイメージまで下げてしまう結果になってしまいます。
 
そして「セルフイメージ=自分の人格=自分の性格」というふうに固定化されていくのです。
 
例えば、子供の頃に育った家が初めからこの状態の場合は、確実にこのセルフイメージをその子供に植え付けます。これは、その子供のセルフイメージを下げてしまうので、できる限り避けたい状況だということを知っておきましょう。
 
 

ステージ5 最終的に「こんな自分じゃだめだ」とダメ出しして、自己憐憫状態にはいるから

部屋の片づけに対してセルフイメージが極端に下がってしまった人は「自分はこんな程度だ」とあきらめの境地に入ったり、「なんて自分はダメなんだ」と自分バッシングをはじめ、自己憐憫状態(自分はかわいそうだな~、だめだな~と感じ続ける精神状態)に入ってしまいます。
 
こうなると、片付けの専門家に片付けてもらったりしても、心のケアをしていかない限り必ずリバウンドしてしまいます。
 
TV番組などでゴミ屋敷を掃除しても必ずもとに戻ってしまうのは、この心の状態が作用するからです。
 
また最近わかってきたのが、アスペルガーなどの広汎性発達障害の特徴などがある人は「こんな自分じゃダメだ」という感覚が普段から人一倍強く、自己憐憫状態が慢性化しやすく、いきなりステージ5に陥る場合があります。
 
 
いかがだったでしょうか?
ステージが深くなればなるほど、改善するのが難しくなります。
 
部屋が散らかっている人は自分がどのステージにいるかをまず捉えてみましょう。
自分の状態を客観的に知ることはとても重要です。
 
・・・では、ここからどうすれば、片付いた部屋の状態に戻していくことが出来るのでしょうか?
 
心理カウンセラーなどに話を聞くと「まずはあるがままの状態を受け入れることが重要だ」と言います。
 
例えば、最近太り気味で気になって体重計に乗ったとします。
「・・・・うわぁ~、こんなに増えている。自分はダメだ~!」
となるのが、自己憐憫。
 
それに対して、
「確かに最近の暴飲暴食だったらそうなるよな。よし、まずこのことを受け入れてそこから考えてみよう」
となると、ダイエットに向き合うことが出来るようになります。
 
家の片付けも一緒です。
 
まず、散らかっていたら
「あれだけ忙しくて心に余裕がなかったから当然だよな~。」
と、あるがままの状態を受け入れることです。
 
もしそれを自分で受け入れるのが難しい場合は、友人に話を聞いてもらい、上記のように「それは仕方なかったよ」と同意してもらうか、カウンセラーなどに話を聞いてもらい、今の自分を認めていく地道な作業が必要になります。
 
少しでも自分ができたことをほめる習慣づけも重要です。
 
特にステージ4、5になるとカウンセラーなども交えて専門家の力を借りながら身辺を片付けていくことがリバウンドにならないための効果的な方法です。
 
片付けと自分の心の状態が比例していくのはこれで実感できたと思います。
ポイントは部屋の片づけと同時に心に癒しを与えていくことだと覚えておきましょう。
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この記事の著者
八納客創(やのけいぞう)
一級建築士 G Proportion Architects 代表。
「快適で居心地よく洗練されたデザイン空間」を探求している1級建築士。「孫の代に誇れる建築環境を作り続ける」をビジョンに、デザイン性と省エネ性、快適性を追求する一般建築を、そして住宅設計では「笑顔が溢れる住環境の提供」をコンセプトをもとに、会社員から経営者、作家など幅広い層の住宅や施設設計に携わる。