YANO'S BLOG
子育てが断然楽になる家の使い方と育児 8つの視点
2019.09.05 子供の住環境 子育て 発達障害
これまで100棟以上の家の設計をやってきましたが、基本的な子供部屋の機能と使い方のマッチングで、子供がすくすくと育つことを実感してきました。
 
ただし、それはあくまでも基本の「き」。
 
わが子の資質と合わせて母親の資質の両方を見ながら、家の使い方を考えないと、本当の意味で、これらはうまく機能しません。
 
 

視点1 本当にダイニングで勉強させたほうがいいのか?

 
「ダイニングで勉強させるといい」
 
最近、この話はよく聞くようになりました。あなたも耳にしたことがあるのではないでしょうか?
私も、拙著「わが子を天才に育てる家」で、ダイニングを活用した勉強法についても話をしました。
 

【親のそばの象徴であるダイニングテーブル】

 
ただ、別のブログでもお伝えしましたが、ダイニングテーブルの照明の明るさやダイニングテーブルでちゃんと座れる椅子がないと姿勢が悪くなったり、目が悪くなったり、集中力が落ちたりとダイニング学習の効果が発揮できないケースもあるわけです。こういうことをセットにして見ておかないと、逆効果になることも知っておきましょう。
 
 

視点2 わが子の集中力が上がる場所とは?

 
ダイニングテーブルだと集中力が上がると思っている人がいたらそれは本質的な答えではないことを知っておきましょう。
なぜなら先にあげた部分をちゃんとやっておかないと、まずは集中できる環境になり得ないからです。
 
そして、本質的にわが子が集中するのは、ダイニングという場所だからではありません。
 
「親のそば」「母親のそば」が、ダイニングテーブルである確率が高いだけで、本質的な答えは、「親のそば」「母親のそば」なのです。
 
心理学的に子供は、親のそばであればあるほど、心にゆとりが出て、いろいろなものに集中して取り組めるようになります。
しかし、これも基本の「き」。
 
「親のそば」「母親のそば」だと逆にうまくいかないケースもあるからです。
 
 

視点3 「親のそば」「母親のそば」だとうまくいかないケースとは?

 
例えば、ダイニング学習に対してわが子が集中できる環境づくりができたとします。でも、それでもうなくいかない家庭があります。
 
それは、どういう家庭でしょうか?
それは育児をしている母親に答えがあります。
 
家庭によって全然違うのが、ダイニングテーブルの扱い方です。
ダイニングの上に物をたくさんおいて生活している家庭もあれば、埃ひとつ無いように綺麗にしている家庭もあります。
 
「ダイニング学習が良いと言っても、机の上を汚されるのは嫌だな・・・」
と内心、そのように思っている母親の場合は注意が必要です。
 
なぜなら、消しゴムのカスが広がったダイニングテーブルをみると、イラっとして子供に注意してしまうからです。
 

【ダイニングテーブルは女性の聖域であることが多い】

 
子供もそばにいる親がいつもピリピリしていたら、緊張して溜まったものではありません。ここまでいうとピンとくる人も多いでしょう。
 
そうです。母親の精神状態が、家のどの環境にもまして重要なのです。
 
「親のそば」「母親のそば」が一番能力が発揮できる。しかし同時に母親の精神状態によっては諸刃の剣になるのです。
 
 

視点4 日本の子育て経験は、まだ70数年しかない事実

 
「母親の精神状態によるって?そんなこと言われても私もいっぱいいっぱいなの!」そういう声が聞こえてきそうです。
実際にそうだと思います。本当にそうなのです。
 
なぜなら、そうならざるを得ないのが今の日本の状況だからです。
 
あなたは次の事実を知っていますか?
「戦前は、母親じゃなく両親がわが子の面倒をみて、若夫婦が働いていた」ということを。
 
心理学的にも、50歳以上の大人が子育てするのに一番適した精神年齢だと言われています。そのことから考えても戦前の子育ては理にかなった話なのです。
 
ですが、核家族化が加速した今の日本では、20歳代〜40歳代の母親が、ほとんど一人で子育てに挑んでいます。これは精神的にいっぱいいっぱいになっても仕方がないことなのです。
 
そして、この事実は、父親だけでなく、一生懸命頑張っている母親も知っておらず「私は子育てが下手くそだ」と人知れず苦労している母親が本当に多いのです。
 
フェイスブックなどのSNSでは、子育てに関してポジティブな面ばかりがアップされるので、「私以外の母親は子育てがこんなに楽しいんだ!」と、密かにショックを受けている母親は実はかなり多いです。
 
しかし、安心してください。SNSは偏った世界しか表現されていません。これまで100家族以上と打ち合わせをしてきましたが、ほとんどの人が子育てで苦労しているのは事実ですから。
 
 

視点5 これからの子育てに関して夫婦で共有したい事実

 
先に述べたように「戦前は母親一人で子育てするということはなかった」「20〜40歳代の母親が一人で子育てすること自体が根本的に難しい」という事実をまずは夫婦で情報共有しましょう。
 
「仕事と比べれば、育児の方がマシなのでは??」という男性は流石に減ってきたでしょうが、まだまだその考えは世の中で強いです。
 
しかし、週末に妻が一泊旅行に出かけた時にわが子を自分だけ見た父親は実感があるでしょう。「こんなことを毎日やったら身が持たない」と。
 
だからと言って、仕事を軽んじているわけではなく、育児が同等以上に大変な仕事であることをまずは夫婦で共有しましょう。
多くの女性は、「自分には稼ぎがない」「そんな中、子育てだけでもちゃんとやらなくては」と、人知れず思っています。男性はこの事実をご存知ですか?
 
それくらい子育ては難しい側面があり、できない母親は、自分のことを内心でバッシングばかりしていると鬱になってしまいます。自分をバッシングばかりしている人はまず上記の事実を知って夫婦で受け入れてみましょう。
 
 

視点6 発達障害のグレーゾーンが増え、ますます子育てが複雑化してきた

 
私の妻は心理カウンセラーで子育ての相談をたくさん受けますが、発達障害やそのグレーゾーンの子供が実際に増えているのを実感します。例えば、発達障害にもアスペルガーやADHDなど、分類するとそれぞれ違う特徴があったりしますが、発達障害の傾向がある子供の場合は、「ダイニング学習」は、ほとんどの場合うまく行きません。それには理由があるからです。
 

【アスペルガーやADHD、グレーゾーンの子供は、基本の「き」からさらに応用が必要になりやすい】

 
 

視点7 なぜ発達障害の子供にはダイニング学習がうまくいかないのか?

 
「ダイニング学習がいいと聞いたけど、子供の気が散って全くうまくいきません」という母親もいることでしょう。
なぜなら、子供は大人に比べて集中力を保ちにくく、すぐに気が散ってしまうため、例えばダイニングテーブルの上に勉強道具以外のものが乗っていると、すぐに気が散ってしまうからです。
 
特に、発達障害の傾向がある子供の場合は、一つのことに集中力を保つことができません。ダイニングテーブルで勉強がうまくいかないわが子の場合には、「他のものが全く目に入らず、気にならない場所作り」が重要になってきます。
 
これは、あくまでも、基本の「き」を抑えながらでも、うまくいかないからこそ、その応用で築いていくものです。まずは、ダイニング学習の環境を整え、その結果どのような反応をわが子がするのかをみていくと良いでしょう。
 
 

視点8 こういった情報はどこで手に入るのか?

 
日本は、他の先進国に比べて心理学の分野でもまだまだ遅れていると言われています。最近、言葉でも聞くようになった「発達障害」や「グレーゾーン」や、なかなか集中できないわが子がいる場合は、最新の「認知行動療法」などを取り入れると効果が発揮できます。
 
育児+認知行動療法や子育て+認知行動療法などでインターネットで検索するとたくさんの情報が出てきます。
 
私の場合は、妻が心理カウンセラーであることもあり、彼女から情報を共有してもらいながら、家づくりに生かしています。これからの家づくりは、心理学的な知識も組み込みながら本当に家族にマッチした環境づくりが急務だと実感しています。
 
 

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この記事の著者
八納客創(やのけいぞう)
一級建築士 G Proportion Architects 代表。
「快適で居心地よく洗練されたデザイン空間」を探求している1級建築士。「孫の代に誇れる建築環境を作り続ける」をビジョンに、デザイン性と省エネ性、快適性を追求する一般建築を、そして住宅設計では「笑顔が溢れる住環境の提供」をコンセプトをもとに、会社員から経営者、作家など幅広い層の住宅や施設設計に携わる。