YANO'S BLOG
家相で夫婦の意見が割れたら、どう家づくりを進めればいいか
2026.07.15 家相 風水

「妻は家相を大切にしたい。夫は『そんなの宗教だろ』と取り合わない」。設計相談の場で、この構図には何度も出会ってきました。

先に結論を言います。どちらかが折れる必要はありません。説得も要りません。この問題は、話し合いではなく設計で解決できます。私は一級建築士として30年以上、約130棟の住宅を設計してきましたが、家相をめぐる夫婦の対立が原因で家づくりが行き詰まったことは一度もありません。

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夫婦で家相の意見が割れるのは、珍しいことか

まったく珍しくありません。典型的なのは、妻が親や実家の影響で家相を大事にしたいと考え、夫が非科学的なものを毛嫌いしているという組み合わせです。

※もちろん男女が逆転しているケースもあります

夫側の言い分はだいたい決まっています。「それって宗教でしょう」「そんなものを信じていると思われるのが恥ずかしい」。言葉にしなくても、打合せの場で表情に出る方もいます。

私はこの反応を否定しません。家相が「占い」と同じ棚に置かれている限り、合理的に考える人が拒否するのは当然だからです。家相と風水と占いがどう違うのかは「家相と風水の違いは何か」で詳しく解説しています。

実際、他の設計者に「迷信を信じていたらいい家にはなりませんよ」と言われて、私のところに相談に来られた方もいます。問題は夫の知性でも妻の信心でもなく、家相の扱われ方にあります。

家相を嫌がる夫を、説得する必要はあるか

ありません。ここははっきり断定します。

私のやり方はこうです。家相の話は、嫌がっている方には一切しません。その代わり、ご主人の要望と暮らし方を徹底的に聞きます。朝どう動くか、帰宅して何をするか、休日をどう過ごしたいか。そしてその要望をすべて満たす間取りを設計します。その間取りに、家相を組み込んでおくのです。

奥様には、家相が押さえてあることをきちんと伝えます。すると同じ一つの家が、ご主人にとっては「自分の要望が反映された使いやすい家」になり、奥様にとっては「家相の整った安心できる家」になります。夫婦のどちらも、何ひとつ我慢していません。

「それって宗教でしょう」と言ったご主人の家は、どうなったか

実際のケースをお話しします。奥様は家相を重視し、ご主人は頭ごなしに否定するご夫婦でした。打合せでも「信じていると思われるのが恥ずかしい」という態度がはっきり出ていました。

私はご主人を説得しませんでした。ご要望を細かく聴き取り、それに最適な間取りを設計しました。そこには家相が細部まで入っていますが、ご主人には伝えていません。

完成後、ご主人はその間取りと空間デザイン、外観デザインに満足されました。この家に家相が組み込まれていることを、ご主人はいまも知りません。

一方の奥様からは、こんな言葉をいただきました。

「家相の間取りにしたいと思っていましたが、実際に家相を組み込んだ家がこんなに使い勝手がいいとは思いませんでした」

奥様は家相が入っていることを知っているので、住み心地の良さに加えて、さらに深いところで安心されています。

なぜ家相を組み込むと、使い勝手が良くなるのか

奥様の言葉には、多くの人が持っている誤解が表れています。「家相を優先すると、使い勝手を少し犠牲にすることになる」という誤解です。実際は逆です。

家相は、環境から見た統計学です。方位ごとの光の入り方、風の通り方、湿気のたまりやすさと、人の暮らしの相性を、長い年月の経験則として整理したものです。たとえば北東の水回りを避けるという原則には、日が当たらず湿気がたまりやすい場所に水を置かないという環境上の合理性があります。

だから家相を素直に組み込むと、無理のない自然な動線と空間デザインができあがります。ご主人が家相の存在に気づかなかったのは、隠すのがうまかったからではありません。家相の整った間取りは「普通にいい間取り」として現れるからです。もし家相を入れた結果として使いにくい間取りになっているなら、それは家相の問題ではなく、設計の力量の問題です。

鑑定士と設計士が分かれていると、何が起きるか

一般的な進め方は、設計者がつくった間取りを鑑定士に見てもらい、修正指示を設計者に戻すという分業です。この方式には構造的な弱点があります。設計の文脈を知らない指示が入ると、間取り全体が歪むのです。

以前、ある家の完成後の雑談で聞いた話ですが、鑑定士の指示をめぐって建て主と施工会社が対立し、収拾がつかなくなったケースがありました。建て主が鑑定士を強く信頼しているため、設計側の説明が届かなくなっていたそうです。

私の設計では、この衝突が起きません。鑑定と設計が分業ではなく、一級建築士である私自身が設計プロセスの中に家相を統合しているからです。「家相のための不自然な変更」がそもそも発生しないので、夫婦のどちらかが設計に不信感を持つ場面も生まれません。

意見が割れたまま、家づくりを進めていいのか

進めて構いません。ただし条件が一つあります。家相を設計の言葉に翻訳できる設計者を選ぶことです。

夫婦のどちらかを説得してねじ伏せた家は、住み始めてからも「あのとき私は我慢した」という感覚を残します。家は数十年住む場所です。その禍根を抱えたまま暮らすのは、家相以前の問題として、いい家づくりではありません。

家相を大切にしたい人には家相の整った家として、家相を信じない人には純粋に使いやすく美しい家として。同じ一つの家が両方の答えになる設計は、可能です。夫婦の意見が割れていることは、家づくりを止める理由にはなりません。

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この記事の著者
八納啓創(やのけいぞう)
一級建築士 G Proportion Architects 代表。
「快適で居心地よく洗練されたデザイン空間」を探求している1級建築士。「孫の代に誇れる建築環境を作り続ける」をビジョンに、デザイン性と省エネ性、快適性を追求する一般建築を、そして住宅設計では「笑顔が溢れる住環境の提供」をコンセプトをもとに、会社員から経営者、作家など幅広い層の住宅や施設設計に携わる。