YANO'S BLOG
家相は迷信なのか、それとも統計なのか
2026.07.17 家相 風水

「家相って、結局は迷信ですよね?」

設計相談の場で、何度も受けてきた質問です。

私は一級建築士として30年以上、約130棟の住宅を設計し、並行してオンラインでの家相鑑定を100数十件行ってきました。

その経験からの答えはこうです。
占いとして扱えば、家相は迷信になります。

しかし観察の蓄積として扱えば、家相は統計です。私は後者として設計に使っています。
 

間取り図だけで、家族の状態はどこまでわかるのか

私が家相を統計だと考える理由を、実例からお話しします。

ある経営者の方から、購入を検討している競売物件の間取り図を見せていただいたことがあります。
私はその家の現地を見ていませんし、以前の住人にも会っていません。

手元にあるのは間取り図一枚だけです。

その間取りには、はっきりした特徴がいくつもありました。
鬼門方位に水回りが集中している。家の主人の場所とされる北西に子供部屋がある。
南の玄関まわりに「欠け」がある。そして中廊下式の間取りでした。

私はこう読み解きました。

北西に子供部屋があると、家は子供中心に回りやすく、母親は子供に過干渉になり、父親は家の中で孤立しやすい。
南玄関の欠けは、家族の衝突が起きやすいパターン。

中廊下式の間取りは、廊下を挟んだ部屋にいる家族同士の関係が悪くなりやすい——。

すると、その経営者が驚いた顔をしました。
その方はたまたまこの物件の内情を知っていて、私の読み解きが、実際にその家で起きていたことと一致していたからです。 

100件以上の間取りには、どんな共通点があるのか

一件の的中なら、偶然と言われても仕方ありません。
しかし、同じパターンは繰り返し現れます。

私のところには「間取りを見てほしい」という依頼とあわせて、「家族の不和を改善したい」という相談が数多く届きます。

100数十件の間取りを見てきて、うまくいっていない家には共通点があります。

間取りに欠けがある。中廊下・中階段の構成になっている。そして水回りが鬼門・裏鬼門に集まっている。
この3つが、驚くほど高い頻度で重なって現れるのです。  

なぜ間取りが、家族関係に影響するのか

理由を設計の言葉で説明できるものは多くあります。

中廊下・中階段の間取りは、家族の居場所を廊下で分断します。
互いの気配が届かず、顔を合わせずに一日が終わる動線構造です。

関係が悪くなってから間取りを見ると「なるほど」と思う配置になっています。

北西の子供部屋は、家の中の空間の序列が子供中心に組まれているということです。

親の居場所より子供の居場所が上位にある家では、暮らしの重心もそちらに引っ張られます。

水回りの汚れは、湿気・カビ・空気環境の悪化としてそのまま住環境に現れます。

つまり家相は、環境から見た統計学です。
方位や配置と暮らしの相性を、長い年月の経験則として整理したものです。

家相と占いがどう違うのかは「家相と風水の違いは何か」で詳しく解説しています。

一方で、すべてを科学の言葉で説明できるわけではない、ということも正直に言っておきます。

それでも「説明がつかないから捨てる」のではなく、「繰り返し観察されるから、設計で最初から押さえておく」。
これが統計としての家相の使い方です。 

現代の住宅でも、昔と同じ影響があるのか

率直に言えば、水洗化が進んだ現代の住宅では、昔ほどの影響はありません。
トイレが屋外の汲み取り式だった時代とは、衛生環境がまるで違うからです。

それでも100数十件を見てきた実感として、鬼門・裏鬼門の水回りが「汚れている」家は、家族の状態も崩れていることが多い。

ここで大事なのは、方位そのものではありません。鬼門に水回りがあること自体が悪いのではなく、そこが汚れたときに影響が出やすい、というのが実際の観察結果です。

だから私は設計の段階で、汚れやすい用途をそもそも鬼門線から外しておきます。
これは怖れではなく、リスク管理です。

迷信と統計は、何が違うのか

迷信とは、理由を問わずに怖れることです。
統計とは、パターンを観察し、再現性のある形で使うことです。

家相を迷信として怖れる必要はありません。
同時に、「非科学的だ」と切り捨てる必要もありません。

100件以上の間取りに繰り返し現れる共通パターンは、設計の段階で最初から整えておけるからです。

しかも家相を素直に組み込んだ間取りは、特別な形にはなりません。
自然な動線を持つ、普通に使いやすい家として仕上がります。

家相は、怖れるものでも信じるものでもなく、設計に使うものです。
そしてそれができるのは、家相を設計の言葉に翻訳できる設計者です。

これから家を建てる方は、設計の段階で家相を組み込むのが最も確実です。

いま住んでいる家の間取りが気になる方には、間取り図をもとに診断するオンラインの家相鑑定サービスを行っています。

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この記事の著者
八納啓創(やのけいぞう)
一級建築士 G Proportion Architects 代表。
「快適で居心地よく洗練されたデザイン空間」を探求している1級建築士。「孫の代に誇れる建築環境を作り続ける」をビジョンに、デザイン性と省エネ性、快適性を追求する一般建築を、そして住宅設計では「笑顔が溢れる住環境の提供」をコンセプトをもとに、会社員から経営者、作家など幅広い層の住宅や施設設計に携わる。